小説文(物語文)が苦手です【感情の読み取り】
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「説明文(評論)はできるんですが、小説文(物語文)が苦手です」というお子さんの話をお聞きしました。
主人公の感情を読み取る問題が多いのが物語文。
感情を読み取るには、子ども自身の感受性が必要。だから、物語文が苦手ということは、子どもの感受性が育っていないせいと思っていませんか?
物語文が得意な子の特徴
たしかに、物語文がよくできる人の特徴は、
- 今までに感情を動かすような実体験や読書なので、十分なストーリー体験をもっている
- その体験から登場人物の言動を分析して、感情に言いかえる語彙力をもっている
ということかと思います。王道だと思います。
ところが、小中高生が取り組む物語文には、まだ多くの子どもが知らない感情の変化を問う問題もあります。だから、主人公の言動から感情を読み取れ、というには、ちょっと無理があることもあるんですね。
そんな多くの子に有効な方法があります。
【解決策】感情の読み取りや感情の変化、表現を覚えてしまう
説明文がある程度読み取れるなら、論路的な考え方はある程度育っているはず。そんな子には、知識として感情を覚えてしまう、というやり方もまずは有効になります。(そのあとに、自分なりにイメージしていきます)
こんな出来事があったときは、人の感情はこう変化するんだよ、といこと。
具体例として、芥川龍之介の「トロッコ」より
竹藪(たけやぶ)のある所へ来ると、トロツコは静かに走るのを止めた。三人はまた前のように、重いトロツコを押し始めた。竹藪はいつか雑木林(ぞうきばやし)になつた。爪先上りの所々には、赤錆(あかさび)の線路も見えないほど、落葉のたまっている場所もあった。その路をやっと登りきったら、今度は高い崖(がけ)の向うに、広々と薄ら寒い海が開けた。と同時に良平の頭には、余り遠く来すぎた事が、急にはっきりと感じられた。
三人は又トロツコへ乗った。車は海を右にしながら、雑木の枝の下を走つて行った。しかし良平はさっきのように、面白い気もちにはなれなかった。「もう帰ってくれればいい。」――彼はそうも念じて見た。が、行く所まで行きつかなければ、トロツコも彼等も帰れない事は、勿論彼にもわかりきっていた。
芥川龍之介「トロッコ」より(一部読みやすく変更)
この文章からパターンにして読み取ってみます。
気持ちの読み取れる表現に注目すると・・・
- 良平の頭には、余り遠く来すぎた事が、急にはっきりと感じられた
- 良平はさっきのように、面白い気もちにはなれなかった
- 行く所まで行きつかなければ、トロツコも彼等も帰れない事は、勿論彼にもわかりきっていた
↓
これって、どんな気持ち?
不安・後悔ですね。
(こんな場面では、不安・後悔を感じるんだな、とパターン化してみます)
↓
場面に即した気持ちを表す
- これからどうなるんだろうという不安
- 遠くまで来すぎたことへの後悔
いかがでしょう。これで、聞かれそうなことに答える準備ができたのではないでしょうか。
感情の変化を覚えてしまう
また、ネガティブな感情の変化でよく出題されるパターンがあります。
「不安を感じた人は、被害者意識をもったり、他人に責任転嫁したくなる」
これは多くの人が持つ感情の変化。で、物語文の問題の定石の一つでもあります。知識として教えてしまいましょう。いわれてみればそうかな、と納得できるかと思います。
以上、
感情の読み取りは、知識でカバーしよう、というヒントでした。
参考になれば幸いです。
追伸
夏休みも間近ですね。通える方、教室で勉強してみませんか?夏休み限定で生徒募集中です。こういう知識も指導しています。

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◆執筆者紹介

笠井伸春
個別指導塾・家庭教師のオアシス 代表
ふくい家庭教師ナビ(カテナビ)主宰
単に目先の点数を上げることだけではなく、自信につなげ、いかに生徒が自分から学習できるようになるか、自立した学習が身に付くようなサポートを目指す。高校入試対策のため勉強方法を教えた中学生が、高校でも実践し伸びていることを知り、「1回のテストのために得た知識はテストが終わったら価値がなくなるけど、一度身につけた勉強方法はその先もずっと使える、価値の高いスキルなんじゃないか?」と考え、勉強のやり方を教える家庭教師のチームを作る。
主眼にしているのは、
- 「できる」を実体験してもらい、自信と前向きさを身につけてもらうこと
- 能力に関係なく学習効果の高い勉強方法を身につけてもらうこと
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